さらに、図1で貧栄養細菌が分離された222試料中の細菌数別の分離状況を図2に示しました。全体では1〜9 CFU/mlが96試料(43.2%)と最も多く、次に10〜90 CFU/mlが54試料(24.3%)、100〜990 CFU/mlが38試料(17.1%)、1,000〜9,900 CFU/mlが30試料(13.5%)でした。さらに、10,000 CFU/ml以上の試料が4試料(1.8%)ありました。このように、菌数が多くなると分離率が少なくなりました。


【図2】病院内水道水からの貧栄養細菌数別の分離状況
以上のように、塩素消毒された水道水中にもたくさんの細菌が生息していることがおわかりいただけたと思います。水道水は塩素によって「消毒」、つまり病気や腐敗を起こす可能性のある生物を死滅あるいは不活性化、除去しているだけで、すべての微生物が対象となる「滅菌」が行われているのではありません。したがって、通常は病気を起こさない微生物(水棲細菌)は生存しております。にもかかわらず、時として「塩素滅菌」という表現を見聞きすることがありますが、この表現は内容的にあり得ないものです。さて、それでは水道水中にはどのような性質を持つ貧栄養細菌が生息しているのでしょうか。それは次回にお話しします。
参考文献:古畑勝則、福山正文 病院内水道水からの貧栄養細菌の分離状況 防菌防黴, 34, 6, 323-328(2006)

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古畑 勝則(ふるはたかつのり) 准教授
麻布大学生命・環境科学部
微生物学研究室
学位:博士(獣医学)
研究分野:環境微生物学、微生物生態学
代表著書:バイオフィルム(サイエンスフォーラム)、水ハンドブック(丸善)、
食品のストレス環境と微生物(サイエンスフォーラム)など
麻布大学のホームページ |
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