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微生物を知ろう
微生物分類同定講座
東京大学分子細胞生物学研究所
横田 明 准教授

第2回 微生物の種類(概論)

1. 原核生物と真核生物
 微生物とは顕微鏡を用いなければ見えない微小な生物の総称であり、細菌、放線菌、ラン藻(シアノバクテリア)、古細菌(アーケア)、菌類(カビ、酵母およびキノコ)、藻類、地衣類および原生動物などが含まれます。これらのうち地衣類は菌類と藻類(またはラン藻)が共生しているものです。菌類および藻類などでは遺伝情報を担うDNAが核膜に包まれて存在しますが、細菌や古細菌などでは核膜がありません。このように、細胞の構造の違いを基に生物を大別すると、核膜に包まれた核を持つ細胞からなる生物を真核生物(eukaryotes)といい、菌類、藻類、原生動物、植物および動物が含まれます。また、核膜に包まれた核を持たない細胞からなる生物を原核生物(prokaryotes)といい、細菌、放線菌、ラン藻および古細菌が含まれます。原核生物の細胞と真核生物の細胞との間には表1に示したようにさまざまな違いがみられます。また、各分類の代表的な生物を表2に示しました。

【表1】原核生物の細胞と真核生物の細胞の主な相違点
【表1】原核生物の細胞と真核生物の細胞の主な相違点

【表2】原核生物・真核生物の種類および代表的な生物
【表2】原核生物・真核生物の種類および代表的な生物


2. 生物界における微生物の分類学上の位置
 生物の近代的な分類体系は、リンネが1758年に生物を動物界と植物界の2界に分けたことから始まりました。その後3界説、5界説などが提案されてきましたが、近年では、ウーズがリボゾームRNAの塩基配列に基づいた分類により、「界」の上位に新たに「ドメイン」を設け、それぞれドメイン バクテリア(真正細菌)、ドメイン アーケア(古細菌)およびドメイン ユーキャリア(真核生物)の3ドメインに区分した仮説が多くの科学者に支持されています(図1)。この仮説に基づき、生物進化や微生物の系統分類を考えた場合、原始生物から真正細菌と古細菌という、原核生物の2大系統が発生し、その後、この2大系統の微生物の融合(共生)の結果、真核生物が出現したものと推測されています。ドメイン バクテリアは細菌、放線菌およびラン藻を含みます。ドメイン アーケアは以前は後生細菌(Metabacteria)と呼ばれていた微生物を含み、高温、高塩および強酸などの極限環境下に棲息する生態的に特異な原核生物により構成されます。ドメイン ユーキャリアは真核細胞構造を持ち、動物、植物、菌類、原生動物およびクロミスタ(藻類を含む)の大きく5つの界が含まれます。このうち真核微生物として菌類(カビ、酵母およびキノコ)、藻類および地衣類があります。藻類は酸素の発生を伴う光合成を行い、かつ葉緑体をもつ生物です。カビ、酵母およびキノコは通称であって、分類学上の正式な名称ではありません。菌類(もしくは真菌類)の体の基本構造は細長い糸状の細胞である菌糸です。菌類は非光合成生物で主に多核性であり、菌糸体(mycelium)と呼ばれる糸状の枝分かれした形態で成長します。このような菌糸からなる菌類を一般的に糸状菌(カビ)と呼びます。菌糸が集まって組織となり、子実体構造を形作るものがキノコです。菌類のうち、糸状とならず、生活観の中心が球形ないしは卵形の単細胞であり、出芽あるいは分裂によって増殖するものを酵母といいます。菌類は子嚢菌類、担子菌類、ツボカビ類、接合菌類の4の分類群に分けられます。酵母には子嚢菌酵母と担子菌酵母とがあり、キノコはほとんどが担子菌ですが、一部子嚢菌に属するものもあります。表3に菌類の分類をまとめました。

【図1】16SリボゾームRNA(原核生物)または18SリボゾームRNA(真核生物)遺伝子の塩基配列に基づく生物の系統樹
【図1】16SリボゾームRNA(原核生物)または18SリボゾームRNA(真核生物)遺伝子の塩基配列に基づく生物の系統樹

【表3】菌類の分類
【表3】菌類の分類

 カビ、キノコ、酵母、細菌、放線菌およびシアノバクテリアのいずれでも胞子を形成しますが、その意味合いは違っています。カビでの胞子とは、有性または無性の生殖細胞を意味し、有性の場合には子嚢胞子、担子胞子および接合胞子など、無性の場合には分生子、胞子嚢胞子および遊走子などがあります。一般にカビの胞子は細菌の胞子と比較して耐久性が低いといわれますが、中には耐熱性カビが形成する子嚢胞子や厚膜胞子、菌核のような耐久型細胞が原因となって食品の変敗が起こる場合もあります。一方、細菌の胞子は細胞内につくられる内生胞子のことを通常示し、これは栄養細胞と比べ、熱、乾燥、薬品および放射線などに対して著しい抵抗性を有する耐久型細胞であり、芽胞ともよばれます。放線菌でも分岐する菌糸状細胞に糸状菌(カビ)様の胞子(分生胞子および分節胞子)を形成する場合がありますが、一般的に耐久性が弱く、芽胞とは異なります。


3. 微生物の生育条件に基づく仕分け
 微生物は生育温度域の違いによって高温性菌(好熱性菌)、中温性菌、低温性菌および好冷性菌の4種類に分けることができます。細菌の場合、高温性菌(好熱性菌)は50℃以上でも生育できる菌(最適生育温度:55〜65℃、一部は95℃でも生育可能)であり、そのうち高度好熱性菌は50℃以上でしか生育できない菌で、超好熱性菌は80℃以上で最もよく生育できる菌です。中温性菌の増殖可能範囲は0〜45℃(最適生育温度:30〜38℃)、低温性菌とは20℃以下の低温でよく生育する菌、好冷性菌は20℃以下でのみ生育可能な菌(最適生育温度:15℃以下)のことです。また、生育pH の違いによって、中性付近で良く生育する菌と、酸性あるいはアルカリ性の条件で良く生育する菌に分類されます。酸性を好む菌(好酸性菌)はpH 6以下で良く生育し、アルカリ性を好む菌(好アルカリ性菌)は pH 9以上で良く生育します。表4および5に各生育温度域、生育pH域ごとの細菌の一例を示しました。

【表4】細菌の生育温度域の一例
【表4】細菌の生育温度域の一例

【表5】細菌の生育pH域の一例
【表5】細菌の生育pH域の一例



横田 明 准教授 横田 明(よこたあきら) 准教授
東京大学分子細胞生物学研究所
細胞・機能情報研究センター
バイオリソーシス研究分野

研究分野:細菌系統分類学
代表著書:放線菌図鑑(朝倉書店)、微生物の分類・同定実験法(シュプリンガー・フェアラーク東京)など
横田研究室ホームページ


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第1回 分類とは何か? 同定とは何か?
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